コラム #005

イベントレポート企業インタビュー
2021年11月18日

【イベントレポート】10月17日に求人インタビューLiveを開催しました

いつもご覧いただきありがとうございます。
PARASUKU事業部の色摩です。

現在掲載中の求人の担当者さんや、ストーリーズに出ていただいたパラレルワーカーの皆さんをお招きし、PARASUKUコーディネーターが深掘りインタビューをする朝活YouTube Live

第二回目の求人インタビューとなる10月17日、なみかた羊肉店の行方進之介社長をお招きし、「羊肉を使った新メニュー開発のしごと」についてコーディネーターの遠山祐基が伺いました。

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(以下、敬称略)

遠山「行方さんのところでいうと、“義経焼”が地元のみなさんから認知度が高いかと思うのですが、義経焼って何?という方もいらっしゃると思うので、前提知識として義経焼をご紹介いただければと思います。」

行方「はい、ありがとうございます。義経焼というのはざっくり言うと、にんにくの効いた味噌味の羊の焼肉というんですかね。私の祖父であり創業者の行方貞一が、ジンギスカンを超える料理を作りたいということで、試行錯誤して完成させたと聞いております。」

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(中略)

遠山「(義経焼を)食べられた方は分かると思うのですが、にんにくと味噌が効いていて、ご飯が進む、ビールもガブガブいっちゃうような、そんなソウルフードですよね。一方で羊肉って、『臭い』『食べられない』みたいなイメージを持たれている方もいると思うんですが、いろいろな肉に触れられている行方さんからみても本当に全部臭いのか、品種や育て方によって変わってくるものなんでしょうか。」

行方「結論から言うと、臭い羊肉もやっぱりあります。羊肉がなんで臭くなるかというと、大きくいうと品質不良です。羊肉って、他の食肉と比べると劣化しやすい性質なんですよ。保存温度が1度変わるだけで臭いが出てしまったり…。」

遠山「繊細なお肉なんですね。」

行方「はい。そもそもなんで日本で羊肉=臭いという概念が定着してしまったかというと、昔と今の羊肉を取り巻く環境の違いが大きいんですよね。現在日本では、お肉が美味しくなるように品種改良された羊を、最適なタイミングで、清潔な工場で、厳重な温度管理のもと流通させていますので、とても品質の高い羊肉が食べられます。ただ、昔食べられていた羊肉は、毛を刈り取る羊毛用の羊ですね。しかも、高齢の羊をお肉にしていましたし、流通技術も今ほど発達していなかったのと、取り扱う業者も羊肉に対する知識がほとんどない状態だったんです。なので、当時の羊肉は、『臭い』『固い』『まずい』の三拍子で、日本の羊肉のイメージは惨憺たるものだったと聞いています。」

(中略)

遠山「(行方社長は)世界各地を回っていろんな羊を食べられたと聞いています。世界一周のきっかけであったり、世界の中でこんな食用法が面白かったという話があれば、お聞かせください。」

行方「父親から会社を継ぐ前のタイミングで行かせていただいたんですが、一番の理由としては、世界基準で羊肉の目利きができるようになりたかったということですね。国が変わればもちろん羊が育つ気候風土も変わるし、食べている餌も変わるので、その国それぞれの羊肉の味わいがあるんですよ。自分たちが取り扱っている羊肉って、世界基準で見たらどれくらいのレベルなのかということも知りたかったですし、南極大陸を除くすべての大陸を回って、羊の育つ環境を視察して、現地の羊肉を食べるぞ!と決意して旅に出ました。」

(中略)

遠山「世界の中で、行方さんの味覚においてはどこが一番美味しかったですか?」

行方「本当にいろいろ回ったんですが、やっぱりオーストラリアで食べた羊肉が忘れられないですね。サウスオーストラリアの羊農家さんにお世話になって、羊の世話だったり羊飼いの仕事を手伝わせていただいたんです。最終日に、その農場で育てた羊をスローローストという料理にしてくださって、『とっておきのワインだ!』と言ってオーストラリアワインと一緒に出してもらったのがめちゃくちゃ美味しかったです。」

遠山「羊に関してですが、世界で衝撃的な体験をされたことはありますか?」

行方「印象に残っているのが、中央アジアのキルギスという国に行ったときのことで、とある家族を訪ねて、羊の屠畜とキルギスの伝統料理を教えてもらったんです。家族みんなで羊の市場に行って、普通に乗用車のトランクに詰め込んで帰ってくるんですが、解体する前におばあちゃんから子供までみんな集まって、羊に向かってお祈りするんですよ。これってすごい“食育”だなと思いまして。日本って綺麗にパック詰めされたお肉が当たり前ですが、キルギスの子どもたちって幼い頃から、命あるものが目の前で食べ物に変わる瞬間を何度も見てるんですよね。そういった経験を通して、命に感謝する心を学んでいるんだなと、すごく勉強になった経験でした。」

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遠山「エピソードもエピソードですが、そこに入り込んで見せてもらえる行方さんのアクションもすごいですね。ぜひ世界あらゆるところのお話を聞いてみたいんですが、お時間も限られていますので今日はこのあたりで。今回、新メニュー開発の仕事ということでPARASUKUに出していただいているんですが、簡単に求人のご紹介をいただくのと、今後こういうビジョンに向かって邁進していきたいんだという未来志向の話をいただければと思います。」

行方「あまり“開発”と難しく考えないで欲しいんですが、それこそ世界中に羊肉料理っていっぱいあるので、それのオマージュから始めても良いですし、羊肉に合う調味料の開発だったり、簡単なところからのスタートでも良いんです。そもそもこの仕事をしたいと思う背景について、今の羊肉の実状からお話させていただいても良いですか?」

遠山「もちろんです。」

行方「羊肉って、まだまだ日本では馴染みが少ないお肉かもしれませんが、世界では紀元前から食べられているお肉で、その歴史って牛肉とか豚肉よりも古いんです。その長い歴史をたどる中で、世界各国では多種多様な料理が生まれたんですよ。でも、日本で羊肉を使用した料理といいますと、パッと思いつくのはジンギスカンとかラムチョップくらいですかね。義経焼を思い浮かべてくださった方はありがとうございます(笑)。」

遠山「地元の方は思い浮かんでいると思います。」

行方「ありがとうございます。そんな感じで、日本の羊肉料理のレパートリーって非常に少ないんですよ。それもそのはずで、日本で一般的に羊肉が食べられるようになったのは、昭和に入ってからなんです。ただ、その短い歴史の中でも、先人たちの情熱と努力があって、日本の羊肉文化は着実に発展してきました。そして、これからも発展していくと思うんです。私たちが掲げているビジョンに、“日本の羊肉文化の発展に貢献していく企業であり続ける”というものがあります。そのビジョンを実現していくためには、先人たちが培ってきた実績やノウハウに甘んじて現状維持していくのではなく、それらを糧に新しいことにチャレンジしていく必要があると考えています。そのひとつの手段として、今回の羊肉を使った新メニュー開発の求人を掲載させていただきました。」

遠山「ありがとうございます。“米沢の”とか“山形の”ではなく、“日本の”という冠を付けているところがこだわりなのかなと感じましたが、これまでの歴史の中でも想起されるものってジンギスカン、ラムチョップあたりだなと思います。そこの幅を広げにいくというところで今回の求人があると思うんですが、どういうバックグラウンドや要素を持った方が向いていると思いますか?」

行方「やっぱり根気強い方ですね。羊肉って他の食材と比べると、一癖も二癖もあります。なので、1、2回の試作じゃ美味しいものを作るのは難しいと思うんですよ。試行錯誤して、何度も試作を繰り返す根気強さのある人。羊肉を取り扱ったことのない人でも、うちは羊肉に関する知識は他のお店さんよりあると思いますので、力を合わせて商品開発をしていければと思っています。」

遠山「これまでは、そういう新商品やシーズニングの開発に挑戦されてきたことはあったんでしょうか?」

行方「私が世界を回ってきた経験を活かして今までやってきたのが、7か国の羊肉の食べ比べセット。あとは、世界でポピュラーな羊肉料理ですね。うちでは、スコットランドのハギスという料理だったり、モンゴルのチャンスン・マハという料理を自宅で作れるように、必要な羊肉とレシピをセットにして販売したり…。あと、羊肉料理というわけではないんですが、イタリアで羊飼いを訪ねたときに感動した、羊のミルクのチーズ。それを使ったジェラートを作ったり、ちょっとずつですがやっていますね。」

遠山「今までは、それをお一人でやられてたんですもんね。」

行方「そうですね、ほとんど。」

遠山「決して羊に詳しくなくても、海外の料理だったり食文化、ひいては食育に関わる文脈でも、このあたりに興味関心があって、かつ調理の経験がもしあれば嬉しいなという感じでしょうか。」

行方「そうですね。基本的な調理技術はお持ちの方だと助かります。」

遠山右腕とブレインを兼ねて戦ってくださる方を募集しているということですね。ありがとうございます。では、お時間も迫ってきましたので、最後にPARASUKUをご覧いただいている方に、行方さんから一言メッセージをいただければと思います。」

行方「本日はご覧いただきありがとうございます。まだまだ若輩者の私が言うのもおこがましいのですが、今の時代だからできることってたくさんあると思うんです。私の世界一周という挑戦も、世界を自由に安く行き来できる今の時代だからこそ、できたことだと思います。うちのじいちゃんや先代が、学びたくても学べなかったこと、食べたくても食べられなかった羊肉も、望めばすべて経験できる時代だと思うんです。今のPARASUKUが推奨している副業も同じことだと思います。こんな時代だからこそ、自分の意欲次第で様々なことを経験できると思うんです。なので、自分がこの時代に生きている意味を考えて、今この瞬間を大切にして、様々なことに挑戦していっていただければと思います。」