コラム #013

働き方ハウツー
2022年3月10日

地域おこし協力隊のメリットや注意点を解説|着任後のトラブルを防ぐためにできることとは?

昨今、都市部と地方をつなぐ制度として「地域おこし協力隊」が注目されています。
この記事では、地域おこし協力隊の概要について説明した上で、メリットや注意点、実際に着任するまでの流れもご紹介します。
ぜひ、参考にしてください。

地域おこし協力隊とは?


地域おこし協力隊とは、総務省が行う「地域力の創造・地方の再生」へ向けた取り組みの一つで、都市地域から地方に体験的に移住し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を目指す制度です。(参考:総務省ホームページ

活動期間は概ね1年から3年となっており、活動期間中は各自治体の募集要項に定められている給料が支払われます

平成31年3月までに地域おこし協力隊の任期を終了した人の6割が、活動地に定住しているというデータもあり、地方移住への足掛かりとしてスタンダードな方法になりつつあります。


(引用:総務省 令和元年度地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査結果

地域おこし協力隊の仕事例

地域おこし協力隊の仕事例としては下記のようなものがあげられます。

・地域行事やイベントの応援
・伝統芸能や祭りの復活
・地域ブランドや地場産品の開発・販売・プロモーション
・空き店舗活用など商店街活性化
・都市との交流事業、教育交流事業実施の応援等
・地域メディアなどを使った情報発信 等

仕事のスタイルは、自由に仕事ができるフリーミッション型定められた仕事をするミッション型に分けられ、かつ「地域力の創造・地方の再生」という主目的から、基本的には地域に貢献する仕事を行うことになります。

地域ごとに様々な仕事が用意されていますので、自分がやりたいと思える仕事やスキルを活かせる仕事が見つかるかもしれません。


地域おこし協力隊のメリット

ここからは実際に地域おこし協力隊になるメリットを解説していきます。

1.地方の暮らしを体験できる

現在、都市部に住んでいる方で、これから地方への移住を検討している方がいらっしゃるかもしれません。しかし、その地域に適応できるか不安を抱える方も少なくないと思います。
そのような方は、いきなり移住する前に、地域おこし協力隊の制度を利用することで、地方の暮らしを体験してみることができます。

筆者も実際に、都市部から地方に移住した身ですが、地方の暮らしは実際に住んでみないと気づかないことが多いです。地域おこし協力隊として活動できる3年間を有効に活用することで、実際に地方に身を置きながら、情報や人脈を深めていくことができるでしょう。

2.地域に溶けこみやすくなる

地方は都市部よりも、地域における人と人との繋がりが重要視される傾向があります。

地域おこし協力隊として着任することで、地域おこし協力隊という肩書きで地域と接することができるので、地域に溶け込みやすいというメリットがあります。地域おこし協力隊として地域との結びつきを高めておけば、地域おこし協力隊の任期が終了した後も、スムーズに地域コミュニティに溶け込んでいけるかもしれません。


3.給料を貰いながら地方で活動できる

募集により金額はまばらですが、地域おこし協力隊の任期中は給料が支給されます。慣れない土地で収入がないのは不安を感じると思いますが、地域おこし協力隊なら、その点の不安を解消しながら地方で活動することができます。

4.住宅や車などの手当を貰える場合がある

地域おこし協力隊として移住すれば、自治体によって、住居や車を貸与してくれたり、ガソリン代などを補助してくれる場合もあります。通常の移住より、住まいや移動手段がある程度保証されている状態で来ることができるのは、心理的な安心感にもつながります。
ぜひ、各自治体の福利厚生面もチェックしてみてください。

5.副業ができたり、起業手当を受け取れる場合もある

募集によっては、隊員の副業が許可されている場合もあります。副業をすることで、収入アップに繋がるだけでなく、任期後の選択肢を増やすことにおいても大きなプラスになる可能性があります。また、任期後に起業する場合、行政に認められれば最大100万円の起業支援を受け取れることも。

任期中の3年間をどう使うかによって、その後の可能性は無限大。任期後も本格的にその地域に根付き、キャリアを築いていきたいという方にとっては、大きなメリットになるでしょう。

resized_1646901966_1.jpg

地域おこし協力隊の注意点

ここまで地域おこし協力隊のメリットについて解説してきましたが、注意点もあります。
ここをしっかり理解しておくことで、より納得感を持って地域おこし協力隊を検討できますので、ぜひチェックしておいてください。

1.応募において、現在の居住地などに条件がある

地域おこし協力隊には誰でも応募できるわけではありません。
基本的に、応募できるのは3大都市圏をはじめとする都市地域等に住民票がある方のみです(例外あり)。

また、特定のスキルや自動車運転免許などが求められる場合もあります。
自分が条件を満たしているか、募集要項を事前にしっかり確認し、不安な点があれば自治体の担当者へ連絡をとっておきましょう。

2.任期は最長3年、そのあとは自立する必要がある

地域おこし協力隊の任期は最長で3年となっています。3年の間は、規程通りの給与をもらって地方で活動することができますが、それ以降は自力で暮らしていく必要があります。ですので、一般的には3年間のうちに地方で仕事を見つけて、地域おこし協力隊を卒業した後の生活をしっかり担保する必要があります。

地域おこし協力隊の任期中にしっかりと就労支援を行ってくれる自治体もありますので、このような自治体の場合は卒業後もスムーズに就職等ができるかもしれません。

3.やりたいことと地域の課題が噛み合わない可能性がある

事前に思い描いていた地域おこし協力隊の仕事と実際の業務が噛み合わないケースもあります。また、自治体の受け入れ体制によっては、隊員に活動してもらいたいことが決まっていなかったり、受け入れに慣れていなかったりする場合もあります。

自分がやりたいことは何なのかしっかり考えた上で、適していると思われる移住先を慎重に選ぶようにしましょう。

resized_1646904248_1.jpg

地域おこし協力隊になる方法

地域おこし協力隊になる方法を簡潔にご説明します。

STEP1:赴任する地域を選択する

地域おこし協力隊の情報がまとまっているポータルサイトなどを活用して、気になる仕事がないかを探してみましょう!
ニッポン移住・交流ナビJOIN

当サイト「PARASUKU」でも、地域おこし協力隊の求人情報を紹介しています(山形県長井市の地域おこし協力隊求人特集はこちら)。他サイトに比べて、地域の雰囲気や思いが分かりやすく、また相談サービスも行っていますので、ぜひこちらもご確認ください。しかもPARASUKUなら、任期中の副業や任期後の仕事も検索&相談することができますよ!

STEP2:エントリーする

応募してみたい仕事や地域が見つかったら、募集期間と必要な書類を確認しエントリーします。不明点があれば、募集要項にある問い合わせ先に連絡してみましょう。

STEP3:面接を行う

エントリー後に自治体から返事が来れば、面接に進みます。
面接の準備として自身の経歴・やりたいことなどを整理しておくと良いでしょう。 一度着任したら長くその地域にいることになりますので、後々不満を抱えないためにも、知りたいことをしっかり聞けるように、事前準備は万全にしましょう。

resized_1646902907_1.jpg

地域おこし協力隊になる前にやっておきたいこと

最後にこれから地域おこし協力隊になりたい方に向けて事前にやっておいた方がいいことをご紹介します。

1.仕事内容はしっかり自治体とすり合わせる

着任前と着任後の仕事に対するギャップがあると、地域おこし協力隊の活動のモチベーションに関わってきますので、仕事内容は自治体と事前にすり合わせしておきましょう。
もし可能なら、エントリーする前に自治体の担当者と面談(対面・Webなど)をして、直接質問した方が良いと思います。

協力隊として着任したら、最低でも1年はその地域で活動することになります。担当者さんとコミュニケーションを事前に取っておくことで、安心して着任できるようにしましょう。

2.募集要項をしっかり読む

募集要項をしっかり読み込み、仕事内容や求めるスキルが具体的に示されているか自分が求める待遇があるかなど、しっかり確認するようにしましょう。わからないことがあれば、そのままにするのではなく、自治体に直接問い合わせることも忘れないでください。

3.地域性(車が必要かどうか等)を把握しておく

着任した後になるべく早く生活に慣れるため、事前に現地へ視察に行き、地域性を把握しておくと良いかもしれません。
例えば、車は地方では多くのケースで必需品になります。
このような情報を事前に調査しておくことで、着任後もスムーズに地域の生活に適応していくことができるでしょう。

4.前隊員に話を聞いてみる

前隊員の方と接点を持てる機会があれば、話を聞いてみるのがベストです。貴重な一次情報になります。良かった点だけでなく、不満や不便だった点もしっかりヒアリングすると、納得してその自治体に着任できると思います。

resized_1646903210_1.jpg

まとめ

今回は、地域おこし協力隊制度について解説しました。
地域おこし協力隊は、「地方に体験的に移住し、給料をもらいながら地域貢献活動を行い、本格的な移住を検討できる制度」です。地方移住を検討している方で、かつ主体性のある方には、生活を担保しながらやりたいことに挑戦できる条件が揃っているので非常におすすめです。

他方、地域おこし協力隊になる際には注意点も多々あります。特に募集要項についてはしっかり読み込み、自治体の方と事前に積極的にコミュニケーションを取ることを忘れないでください。
この記事で地域おこし協力隊への理解がさらに深まったなら幸いです。
(文:升屋豊久)

◎山形県長井市の地域おこし協力隊求人特集はこちら