コラム #018

イベントレポート
2022年4月29日

【イベントレポート】地域おこし協力隊×パラレルワークで収入もプライベートもアップデートする生き方とは?

4月26日(火)、山形県長井市主催のもと、ローカルライフマガジン「TURNS」さんとのコラボレーションイベントを開催いたしました。「地域おこし協力隊×パラレルワークで収入もプライベートもアップデートする生き方とは?」と題し、PARASUKUプロデューサー高橋を含む4名がクロストークを展開。地域おこし協力隊のリアルなお話や、パラレルワークと協力隊を組み合わせた新しい働き方の提案など、活発なトークが繰り広げられました。

以下、抜粋してトークの内容をご紹介いたします。

<ファシリテーター>
TURNSプロデューサー 堀口正裕さん

<ゲスト>
長井市地域おこし協力隊OB 工藤裕太さん

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埼玉県出身。東北芸術工科大学を卒業後、建築士として活動。2018年から2021年春まで長井市地域おこし協力隊として着任。現在も建築士として活動しながら、長井市重要文化的景観コーディネーター、山形工科短期大学校非常勤講師などを務める。

宮城東松島移住・定住コーディネーター、グラフィックデザイナー他 関口雅代さん

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東京都出身。音楽業界で15年間グラフィックデザインに従事。災害ボランティアを通じ東北との縁が深まり、「東北食べる通信」初代イベントコーディネーターを務めた後、宮城県東松島市地域おこし協力隊として着任。現在は東松島市移住コーディネーター兼デザイナーとして定住。

PARASUKUプロデューサー 高橋直記

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長井市生まれ。東京の広告プロダクションに勤務後、UターンしCGデザイナーとして独立。仲間と出資し企画会社設立。その後、日本・アルカディア・ネットワークに入社。

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(以下、敬称略)

堀口「まず、工藤さんと関口さんに協力隊時代のお話を伺いたいと思います。工藤さんの場合は、1日どんな流れで仕事をされていましたか?」

工藤「僕の場合は、長井市教育委員会の文化生涯学習課というところに朝8時半に出勤して、朝礼だけは他の職員さんと一緒に出るんですが、その後は何も制約がなかったんです。どこで何をしていても自由という。とはいえ、市役所内で連絡が回ってきたり、いろんな頼まれごとが来るので、お昼までは自分の席に座っていました。そこでデスクワークをこなして、お昼を過ぎたら町に繰り出していって、考えた企画を町の人と話したりしていました。」

堀口「1年目・2年目・3年目とそれぞれミッションがあると思います。あるいは、卒業してから何をやろうかという準備があると思いますが、どんなフェーズで進んでいったんですか?」

工藤「副業としてデザインや設計をしていたので、任期が終わった後もその活動を続けていくだろうなと、協力隊になる前から考えていました。準備らしい準備というより、日々働いていたことが準備だったのかなという感じです。」


(工藤さんが任期中に開催した、空き店舗を活用した展示会の様子)

堀口「なるほど、ありがとうございます。同じ質問ですが、関口さんの場合は、1年目・2年目・3年目とどんな仕事をされていましたか?」

関口「私は東松島市の復興政策課という課に籍を置かせていただいて、工藤さんと同じように定時に出勤して、3ヶ月間は市役所の雰囲気を知るために職員さんと一緒に掃除などをしながら、頼まれごとをメインに仕事していました。あとは、東松島市の協力隊として1期目だったので、町の人に協力隊がどんな人なのか知っていただくのも仕事の内でした。」

「2年目からは、デザイナーさんがうちの町にはすでにいたので、その方のお仕事を取るようなことがないよう、今までデザインに興味がなかった方に対してデザインの価値からお話させていただいて仕事を受け始めました。ただ、デザイナーにデザイン代を払うという文化がまったくなくて、デザイナーって何?という方たちにお話しなければいけなかったのは大変でした。元々いたデザイナーさんも苦戦されていたんですが、一緒に頑張りましょうと盛り上げてくださったり、お互い相乗効果で仕事が増えたりもしましたね。」

「3年目は、デザインより楽しいことが増えてきちゃったので、ほぼデザイナーは放棄して(笑)、町のいろんなことをさせていただきました。今は東京の仕事が半分、東北の仕事が半分という感じでやっております。」

堀口「関口さんは東京でデザイナーとして活躍されていらっしゃったと思いますが、1年目から、東松島市の仕事をしながら東京の仕事もやっていたんですか?」

関口「そうですね。あまり多くはできなかったですが、地方に行って暮らしづらいとなるのは嫌だったので、これくらいは稼ぎたいということはイメージしていました。その分は東京で仕事をもらえるようにしたいと思っていたので、『スピード感はないですけど良ければ』ということで仕事をお受けしていました。」

(中略)

堀口「さて、事前にご質問いただいたことにみなさんからご意見をいただきたいんですが、協力隊として活動されている方からのご質問です。『3月に協力隊に着任したばかりで、仕事は楽しいけれども、3年後のビジョンが固まらず、毎日気持ちが焦ってしまいます。憧れを持って来たものの、将来的にやりたいことが食い扶持に繋がるのか、想像が及びません』ということです。」

高橋「僕が今まで聞いてきた地域おこし協力隊のイメージだと、任期中にやってきた事業を継続してやっていくことを求められるケースが多かったのかなと思うんですが、今はいろいろな任期後のパターンが生まれてきていると感じます。それこそパラレルワークもですが、ひとつのことだけで食べていこうと考えると、焦りが出たり難易度が高かったりすると思うので、たとえば、どこかに勤めて収入を担保しながら、スモールスタートで自分の事業にチャレンジしてみたり、任期中も副業ができることを活かして、どんなポートフォリオが適しているのか3年かけて探していけるのかなと思います。」

関口「やっぱり、自分が好きでこの町の協力隊になりたいという思いが強ければ強いほど、3年後にちゃんと仕事を見つけられている子が多いという印象があります。暮らさなきゃ"いけない"ではなく、どうしてこの町で"暮らしたい"のかということを考えながら活動していると、何となく3年後も見えてくるのかなと思いますね。」

工藤「3年間の中で、町の人に『こういうものがあったらもっと良くないですか?』ということをどんどん言っていった方が良いと思います。協力隊として活動していると、そういうことに気づくことがあるんですよ。『これがあったらもっと良くなりますよ』『それ僕がやりましょうか』と3年の間に伝えていくと、やってくれるならやってほしいというふうに雰囲気が変わってきて、自分もやれることがどんどん増えていきます。任期後も、それが仕事に結びつくかもしれないですし、自分の仕事は自分で作っていけると考えてみると良いと思います。」

堀口「発信をしていくって大事ですよね。そうすると、人が集まってくることもあるでしょうし、ひとりではできなかったけど一緒にやろうとなっていくかもしれません。」

(中略)

堀口「パラレルワークについて事前にいただいた質問ですが、『パラレルワークはワークライフバランスをとるのが難しいと聞いたことがあります。バランスを整える工夫がありましたら教えてください』ということです。みなさんはどうお考えですか?」

関口「ワークライフバランスは、東京にいた頃よりとれていないかもしれないです。でも、東京よりも100倍楽しく仕事できてるから良いじゃん?という感じですね。」

工藤「そうですね。僕もワークライフバランスというのを、協力隊になってからしっかり意識したことはなくて…。最近、ワークライフインテグレーションという考え方を知ったんですが、僕の考え方はそれに近いです。仕事も生活もひとつの人生の中のパーツでしかないから、大きく人生が楽しければそれで良いかなと思うタイプです。」

堀口「私も全国飛び回っていろんな人に会っていますが、地方移住して楽しんでいる方々の暮らしは、むしろ東京での暮らしよりも、移動する量も含めてかなりビジーなんですよね。スローライフはたぶん無いのではないかという結論を、僕はもう持っているんですけれども。それは良い意味でですよ。だから充実しているのかなと思うんです。高橋さん、どうですか?」

高橋「僕も今まで仕事をいろいろ変えてきたんですが、もっと楽しい仕事があるのではないかと思って行き着いたのが今の状態です。やっぱり、お金を稼ぐために”やらなければならない”となった時点でONとOFFという意識になってしまうのですが、”やりたいこと”であればONやOFFという感覚はあまり無いと思っています。また、僕も副業していますが、実質やっていることは一緒でも、業界が変わったりポジションが変わると全然違うことをしている気分になって、意外と疲れないんだなと実感しています。」

(中略)

堀口「今日は長井市の協力隊のお話なんですが、長井市に住んでいるお二人から見て長井の魅力はどんなところですか?」

工藤「重要文化的景観というものに長井市は平成30年に選定されまして、歴史的な町並みがまだまだ残っている珍しい町です。それと同時に、江戸時代くらいからある水路が町中に張り巡らされています。花と水と歴史的な町並みと、小さいですがすごく魅力的な良い町です。僕は、そういう印象でこの町で協力隊として活動しようと思った経緯があるので、ぜひ一回見に来ていただければと思います。」


(山形県指定文化財に指定されている旧丸大扇屋。最上川舟運とともに呉服商として繁栄した。)

高橋「自転車でも行けるところに雄大な自然があるというのはもちろん、僕が帰ってきて感じたのは、サイズ感ですかね。ものすごいド田舎でもなく、人口としては3万人いないくらいなんですが、キーマンと会うにも、仲間を集めてプロジェクトをやっていくのにも、サイズ感がちょうど良いなと思っています。」

堀口「サイズ感というのは、行くとすごく感じることですよね。最後に、皆さんから今日ご参加いただいている方にメッセージやアドバイスがありましたら、一言ずついただけると有難いです。」

関口「協力隊は、本当に最近は給料も悪くなく、仕事としても十分に検討の余地があると思います。有給で好きな町を発信できたり、好きな町のためになれるということ自体が、とても幸せなことだと思います。それプラス副業をするなら、町をどんどん好きになることで仕事も見つかっていくと思うので、まずは長井市を訪れて好きになっていただくのが良いかなと思います。」

堀口「はい、ありがとうございました。本当に、町を好きになるという視点を持つのは大事ですよね。町の見方が変わってきますので、みなさんお試しいただければと思います。では、工藤さんお願いします。」

工藤「長井市は、先ほど高橋さんもおっしゃっていたように、3万人もいないくらいの町です。だからこそ、すぐ友達になれたり、知り合いの知り合いとすぐ繋がるような距離感の近い町なので、ぜひ協力隊になって町の人たちと仲良くなって、この町のために働いてくれたら嬉しいです。僕もぜひ友達になりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。」

堀口「はい、ありがとうございました。最後に高橋さんお願いいたします。」

高橋「ひとつ約束できるのは、人が少ないので、ひとりあたりの価値が自ずと高いんです。何もしなくても、いてくれるだけで価値が高くて、重宝されたり頼られたりするので、それで居心地が良いと感じている協力隊の方を今までに何人も見てきました。あとは、みんなで一緒に良い町にしていきたいと思っているので、ひとりで考え込むのでなく、もっとこの町を良くするにはどうしたら良いか情報交換しながら、一緒にやっていきたいなと思っています。」

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クロストークのあとは、長井市で募集中の地域おこし協力隊求人についてご紹介し、ご希望の方は市役所の担当者様と個別相談できる時間も設けていただきました。
長井市役所のみなさん、ゲストのみなさん、TURNSのみなさん、そしてご視聴いただいたみなさん、大変ありがとうございました。
長井市の地域おこし協力隊は絶賛募集中ですので、気になった方はぜひ以下の特集ページをご覧ください。また、これまでのコラムでは地域おこし協力隊をテーマにした記事もアップしておりますので、地域おこし協力隊制度や移住について気になっている方は、ぜひ他のコラムもチェックしてみてくださいね。

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