働き方改革や仕事の多様化など、どんな仕事をするか考える時代になりました。
そんな中、山形県長井市では農業をしながら自分らしく生きることを推奨しています。地域おこし協力隊の制度を活用し、農業を軸にしたライフスタイル作りの可能性について、担当の渋谷祥平さんに伺いました。

「長井市では、自分らしいライフスタイルを模索していて、新天地（長井市）でチャレンジしてみたい方を募集しています。農業をやってみたいという話は良くお聞きするのですが、同時にハードルが高いと感じる方もいらっしゃると思います。特に初めての方にとっては、それで生活が成り立つのか不安になると思いますが、当市では、多くの方に農業に参加してもらいたく、まずやってみたいという方が参入しやすい形をとっています。」

「その形の一つとして、自身の才能や能力を生かした活動、理想とする暮らしや生きがいの発見を支える地域おこし協力隊を募集しています。そして、制度を利用して農業に参入していただき、農業をライフワークとしながら、様々な仕事や事業に携わる”半農半X”な取り組み方を勧めています。」

地域おこし協力隊は、3年間という期間は決まっていますが、その間、安定した給与が支払われますので、金銭面での不安を感じることなく、安心して農業に挑戦できるとのこと。
では、半農半Xという取り組みとはどういったことか、さらに詳しくお聞きしました。

「半農半Xとは、『農＝農業』と『X＝自分がやりたいこと』を両立させる考え方です。農業を人生の軸と考えたとしても、そこに囚われ過ぎず、”広い視野で自分らしく生きるライフスタイル”を確立していく考え方になります。例えば、農業をやりたくて着任されたとします。野菜づくり（農）をしていく中で、その野菜を一番美味しく食べて欲しいという思いが高まり、曜日限定のレストランを開く（X）ということがありうるわけです。逆のパターンで言えば、減農薬の野菜をネット販売したい（X）という思いがあって着任し、折角ならば、自分で育てた減農薬野菜を販売したいということになり、野菜づくり（農）を始めるということもあるわけです。」

「もちろん、農業だけで生活を成り立たせたいという方も歓迎しています。でも、やっていく中で、別の可能性が見えた時に、それを諦めるのではなく、両立する方法があるのではないか。両立させることで、人生が豊かになるのではないかとも考えています。長井市では、そういった広い視野を持った方がチャレンジしやすいような環境を整えていますし、実際に、長井市で実践されている方たちもいます※。」

※長井市で半農半Xを実践する先輩たちへのインタビュー記事はこちら

長井市では、農業を基軸に、様々な仕事にもチャレンジできる体制やサポートをしているということで、本当に自分らしさを見つけたり、活かしたりできるライフスタイルが作れる場所となっているようです。
最後に、長井市で農業を始める利点についてお聞きしました。

「長井市は、町部と農村部が非常に近い位置関係にあり、非常に小さくまとまったコンパクトシティと言えるところです。人同士の距離も近く、何か動き出せば、すぐに反応が得られますので、トライ＆エラーがしやすい場所とも言えます。それに、行政内の連絡もスムーズで、課を超えた連携もしやすくなっています。やはり、別の土地に移住して、その土地になじむことや自分で興味ある分野を発見するのは難しいと思います。そういった点では、担当課だけでなく、様々な課が協力できる点が長井市の良さと考えています。」

「農村地としてみても、2つの川に挟まれていて水源は豊富です。稲作はもちろん、野菜、果樹、家畜と、どんなものでも挑戦しやすい場所になっており、これまでの蓄積から手厚い支援策もあります。また、若い農家も増えていますから、若手の新規就農者にとってはコミュニケーションが取りやすい町でもあります。もちろん、半農半Xという考え方だけでなく、自給自足の生活やってみたいといった方なども歓迎しています。市では、みなさんのチャレンジしたい気持ちを第一に汲み取り、より豊かな人生を歩まれるお手伝いができればと考えています。」

（市内を流れる最上川）

「長井市では、これまで、21名の地域おこし協力隊が着任し、町の活性化に尽力されてきました。また、自分の能力を活かしたチャレンジをする中で、当市で理想とした暮らしを見つけ、歩まれている方がOBとして残っていらっしゃいます。そういった方々との交流やこれまでの実践例もあり、まちづくりに若手が参加する非常に活気ある町が長井市です。やってみたいという気持ちや、農業に対する思いがある方、お待ちしております。」

最後に、渋谷さんは、協力隊として来てくれることだけでも、市民の方の良い刺激になり街が活気づくと考えており、さらに農をきっかけに長井に魅力を感じ、移住や定住を考えてもらえればということでした。興味をお持ちの方は、ぜひご応募下さい。
（文:池田将友）

長井市ホームページで掲載中の募集要項はこちら