ストーリーズ #020

スタイリスト×セレクトショップ店長

梅村和子さん

地域:山形県長井市タイプ:主業・副業一体型

長井市におしゃれ革命を起こしたい。女性も男性もおしゃれな街って、いきいきしているように見えませんか?」

そう話すのは、長井市でセレクトショップ「Luichantant UMEMURA」の店長兼バイヤーを務める梅村和子さん。実家である梅村呉服店に併設されたセレクトショップは、主に国内ブランドの洋服や雑貨を取り扱っており、昨年で40周年を迎えました。

「継ぐつもりで戻って来たわけではなくて、初めは長期休暇のつもりだったんです。」

スタイリストとして海外を拠点に活動していた梅村さんがUターンしたのは、今から10年前。当初お店を継ぐことは考えていませんでしたが、幼少からの習慣で店に立つうちに、継ぐことも視野に入れるようになったそうです。

「常連のお客さんに『かずちゃんがいてくれて良かった』って言われると、『じゃあ頑張ろうか』って。親としては、お店を重荷にしたくないという気持ちもあったのかもしれませんけどね。」

東京や海外を転々として、一つのところに長くとどまることのない娘に、両親は後継者になるよう強く求めることはありませんでした。結果として、自由にさせてくれた分、「経験を積んで戻ってこれた」と梅村さんは言います。


梅村さんがスタイリストという職業に出会ったのは、小学生の時。たまたま図書館で見つけた職業図鑑に、洋服関係の仕事として載っていたのが、スタイリストでした。実家が呉服店で、お母様が昔大手アパレルメーカーでデザイナーをしていた事もあり、幼少期からファッションが大好きで、洋服関係の職種に興味があったそうです。

「デザイナーは一から服を作りますが、私がやりたいのはそうではなかったんです。だから、その人やシチュエーションに合わせてコーディネートするスタイリストという職業は、まさに理想でした。ただ、当時の私は芸能の道も目指しており、光を浴びる仕事がしたいという気持ちもありました。」

二つの夢を諦められないまま、高校卒業と同時に東京にあるスタイリストの専門学校に入学。同時に、劇団にも所属して俳優業にも注力しました。学生の内から二足の草鞋を履く、とてもハードな日々だったそうです。

卒業後は2年ほど俳優業に専念。その過程で韓国に渡り、人との出会いのままに様々な仕事をしました。そんな折に舞い込んだのが、初めてのスタイリストとしての仕事です。韓国・日本で活躍するK-POPアイドルのスタイリングを知人づてで依頼され、ライブや撮影時のスタイリングを行うようになりました。他にも、アパレルメーカーの依頼で新作ブランドのファッションショーをコーディネートするなど、活動の場を広げます。

「スタイリストという仕事は、芸能人などの衣装をコーディネートするだけでなく、一般の方の服を選ぶこともあります。例えば、主婦の方でイメチェンがしたいとか、本当に自分に似合う服を知りたいとか。一緒に出掛けて見繕う、なんていうお仕事もあります。」


現在はセレクトショップを営む傍ら、知り合いからの紹介でスタイリストの仕事を請け負う梅村さん。スタイリストの仕事はあまり多くはありませんが、店に立っている間はお客様全員のスタイリストであるという気持ちで接客をしています。だからこそ、長井市で生活して改めて感じたのは「もったいない」という事でした。

『これは目立つから着れない』『柄物なんて着れない』と、無難なデザインを選ぶ方が多い気がします。これは、周りにそういう服を着ている人が少ないからなんですよね。でも、そういう服を着ている人が増えていけば、抵抗はなくなると思うんです。ちょっとずつ、長井市の人達の意識を変えていきたいです。」

服装にあえて統一感を持たせずに、日々違うコーディネートでお店に立つ梅村さんは、“毎日違う自分でありたい”と言います。どんな服を着て今日を過ごすのか。服装ひとつで気持ちは変わります。


(タンザニアに縁のある夫婦のためにデザインした衣装 梅村さん:左)

私、めちゃくちゃ服が好きなんです。

服が大好きだからこそ、お客さんが喜んでくれる一着を提供することを心掛けています。

「同じTシャツでも、着る人が違えば組み合わせは違います。だから、マネキンにある組み合わせを複数人に売るというのは、私の中ではありえないです。お客さんと話をしていくうちに、その人が本当に着たい服、好きな服が見えてくることもあります。一対一なんです。」

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(その人の求めるものに合わせてスタイリング)

「常連のお客さんの中には、私に『いいね』って言われたいという方がいます。いつもと違う服を着るのは大きな挑戦ですから、第三者からのお墨付きが欲しいんですよね。“服の事はこのお店のこの人に相談すれば大丈夫”と思ってもらえたら嬉しいです。」


梅村さんにとって、大好きな“服”に関する二つの仕事に隔たりはありません。スタイリストが営むセレクトショップ、という感覚で、気軽にコーディネートの相談を受けています。 セレクトショップの店長として構えながら、今後はスタイリストの仕事にももっと力を入れていきたいと梅村さんは言います。

「長井市にこういうお店があるんだよというのを知ってもらうためにも、広報部長として地域に出て、いろんな人を素敵にしていきたいです。山形の人達のファッションに対する意識を上げて、ファッション偏差値を上げていきたいと思っています。それから、長井市って美容のお店も多いんですよね。だから、見えていないだけで意識の高い人はいると思うんです。そういう人達でつながって、何かできたら面白そうだなって思います。」

セレクトショップ、それからスタイリストとしてのお仕事の両方に全力で取り組む梅村さん。服にも人にも真摯に向き合う姿に、梅村さんのお店に通うお客さんは幸せだなと感じました。 長井市におしゃれな人が溢れるのも、そう遠くないかもしれません。
(文:海谷南津子)

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Luichantant UMEMURA

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しごとパラメーター

  • セレクトショップ店長
  • スタイリスト

主業

副業

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