ストーリーズ #002
ペレットストーブ販売×ラフティングガイド
平嶋天臣さん
地域:山形県小国町・朝日町タイプ:季節に応じて
山形県朝日町。山間(やまあい)にひっそりと佇む小学校跡で、四季の移ろいにあわせて仕事をする方とお会いしました。
平嶋天臣(たかおみ)さん。今回取材させて頂いた夏の時期は、川をボートで下るラフティングのガイドをしています。そのラフティングツアーの基地となっているのが、朝日町の小学校跡。校門にはパドル型の看板が。今は閉校してしまいましたが、わくわくするアクティビティへの出発点となっていました。
基地から車で10分ほど行くと見えてくるのが、ラフティングの舞台となる最上川。
「楽しいときは、お客さんと一緒に『わー!』ってなります。わかりやすく喜ばれますからね。それが嬉しいなって。」
山間とはいっても、じりじりと焼きつけるような暑さ。見ていて羨ましくなってしまいました。夏には最高のアクティビティでしょう。
ちなみに、雪解けの春から雨量の多い時期にかけては激流、雨量の少ない夏から秋にかけてはゆったりとした流れの中でラフティングが楽しめるそう。
しかしそれも、冬になると一旦お休み。代わりに、山形県小国町でのペレットストーブ販売の仕事がオンシーズンになります。炎のある暮らしを提供してくれるペレットストーブや薪ストーブ。平嶋さんは、その設置工事やメンテナンス、さらにはオンラインショップの運営も担当しているそうです。
「火って、暖かさだけじゃなくて、見るだけでも何か効果ありますよね。びっくりするくらい、ずっと見てられるんですよ。」
自然の恵みを活かしたペレットストーブと、自然の恵みを楽しむラフティング。主業と副業で共通している部分がありそうですが、もともとそういうものに興味があったのでしょうか。
「自分からラフティングガイドになりたい、ペレットストーブの販売やりたいっていう意識はなかったです。全然知らない世界だったんですよ。自分がやる分には楽しいと思っていましたが、ラフティングは提供してもらう楽しさでしたので。でも、やってみたら面白かったですね。」
福岡県出身の平嶋さん。関東でサラリーマンをしたのち、「福岡ではできないスノーボードをやってみたい」ということで、まずは福島県のゲレンデスタッフに。そこで、「夏に暇だったらラフティングやらない?」と誘われ、冬になると今度はペレットストーブの仕事に誘われ。そうして季節パラレル型のワークスタイルになったといいます。
人とのつながりが現在の仕事を始めるきっかけだった平嶋さんですが、自身の中で核となっている思いがありました。
「自由に生きたいっていうのが最終目標なんで。」
揺るぎない思いが、そうさせてくれる人たちとのつながりを引き寄せたのかもしれません。
今の働き方について、平嶋さんはこう言います。
「複数の仕事をしていて良かったことしかないんじゃないですかね。でも、仕事楽しめる人じゃないと、メリットだとは思わないですよね。自分の時間がないとかって。結局、仕事している時間も自分の時間だととらえていると楽しいんです。」
「どっちでも自由にさせてもらっているのが大きいと思います。頑なに『あれやれ、これやれ』と決めつけられるよりも。普通、お客さん商売でこんな髪させてもらえないですよ。その分、柔らかい言葉づかいをするなど、良い印象を与えられるように気を付けています。」
お客様商売には珍しい、やんちゃな髪をした平嶋さん。なるほど、その分、与える印象には気を付けているんですね。
「ストーブ掃除している間に、子どもにいたずらされたりしますよ。」
良き「お兄ちゃん」といったところでしょうか。平嶋さんからはそんな印象を受けます。きっと、仕事の時間も自分の時間として楽しんでいることも、そのような印象につながっているのだと思います。
これからの働き方については、こんなお話を聞かせてくださいました。
「自分は将来独立したいと思っていて。どっちも季節業なので、それを組み合わせたら1年中の収入につながるかなと。もうちょっと自分なりにアレンジしないとですけど。真似してるだけじゃ、まだ自分に合わないところもあるので。」
「ただ、結構今も満足してるんですよね。自由に生きるっていうのが、今できてるっていう実感はしてるので、このままおっさんになっちゃうかもなって。そうなるのが怖いです。」
もっと理想があるということでしょうか。
「理想を言えば、今は少なからずお金のために働いてるっていうのが実際ですけど、将来的にはお金を気にせずに働けたらなと。お金のために働くっていうのをとっぱらって、楽しい気持ちだけで働けたら。気持ちの余裕が欲しいですね。それがあれば他のこともやれるし。余裕を見せる。本当にしたくないならしなくても良いし。」
季節に沿って働くというのは、よく考えてみれば昔ながらの働き方です。でも、なんだか新しい働き方にも思えるのは、平嶋さんが働き方に自分を合わせるのではなく、自分に働き方を合わせようとしているからなのかもしれません。
ひとりひとりが自分に合わせた働き方を。そうやって、どんどん新しい働き方が生まれていくのだと思いました。
(文:色摩ゆかり)
2021/6/22追記
現在は自営業で生計を立てている平嶋さん。YouTubeチャンネルでは、実際に回った全国のアウトドアスポットや、山開拓(!)の様子を発信しています。
しごとパラメーター
- ペレットストーブ販売
- ラフティングガイド