ストーリーズ #012
Webマーケティング支援×イラストレーター
イトウフミエさん
地域:山形県庄内地方タイプ:副業イラストレーター
子供の頃から好きだったイラストを仕事にする。
それを可能にしたのは、「副業」という選択でした。
関東から山形に引っ越して自分の夢を叶えた、イトウフミエさんにお話を伺いました。
「大学を卒業して、ネット広告の代理店で3年、生活雑貨を取り扱う小売業で9年と、関東で30年近く過ごしてきたんですが、2人目の子どもが生まれた時、会社務めをしながらの子育てに限界が見えて…。夫に相談をしたら、夫の父方の実家がある山形に移住することになったんです。いつか子どもたちが独り立ちしたら、終の棲家として山形に移住する計画は立てていたんですけど、まさかこんなに早くなるとは思いませんでした。」
移住に際しての一番の不安は仕事だったそうですが、リモートワーク可能な会社に転職することで解消されました。
また、移住に合わせて、子供の頃からの夢であったイラストレーターの仕事を始めることになるのですが、きっかけは意外なことでした。
「ある時、長女と一緒にテレビアニメを見ていたんですが、その中で『夢と絶望は背中合わせだが、絶望があるから夢はもっと輝く』といった内容のセリフがあったんです。それまでは、イラストを描くのが好きだからこそ、自分の絵を否定されたら嫌いになってしまうかもしれない。そんな考えに囚われていて、仕事にすることが怖かったんです。でも、そのアニメのセリフを聞いて、自分のやりたいことも、ショックを受けることも、一緒なんだなと思えて。ショックを受けたとしても、それを力にできるかもしれないと思ったら、やってみようという気持ちに変わったんです。」
頭の片隅に、イラストレーターになりたいという考えがずっとあったからこそ、そのセリフが響いたのだと語るイトウさん。また、山形に移住するきっかけがあったのも、考えを変える一因になったということでした。
「山形に越してきて、早々にイラストレーターとしての名刺を作ったんです。実績はなかったんですが、それはやりながら作っていこうと、まずは形から入りました。名刺を作る時に、イラストを描くツールとしてiPadを購入しました。こういったデジタルツールがあったのも、イラストの仕事をすることを後押ししてくれましたね。宣伝については、夫が地域おこし協力隊の任務に就いていたので、その名刺にイラストを付けて配ってもらいました。それを見た方から、似顔絵を描いて欲しい、キャラクターを描いて欲しいと少しずつ仕事をもらえるようになりました。夫に感謝ですね(笑)」
実績をつくってから始めよう、専門の学校を卒業してから始めようとなると、いつスタートできるかわからないものです。イトウさんの場合、名刺を作ることで自分への言い訳をやめ、前を向けるように気持ちを作ったのだと思います。
加えて、便利なツールを取り入れていくことも、夢を形にすることに一役買っていると、話を伺っていて感じました。
それでも、複数の仕事を持つことは、会社員時代と比べて大変なのではないかという疑問があります。
「複数の仕事を掛け持ちしてはいますが、会社務めと違って決められた出勤・退勤・就業時間がない分、自分で調整できるので、かえって効率が良かったりします。午前中に頭を使って考える仕事をして、午後にはイラストのような創り出す仕事をすると、一日にメリハリが生まれますし、気持ちも切り替えられて作業が進むんです。」
自分の采配で仕事ができるので無駄な時間がなく、ワークバランスが保てているということでした。
そのバックボーンとなるところには、東京での経験や関東マインドを持って山形に住めたことが大いにあるようです。
「東京にいた頃は、『限られた時間の中で与えられた仕事を終わらせなきゃ』と急かされている感じがしていたんですが、山形に来てそういったことから開放されたのが、仕事と子育てに余裕をもたらしてくれました。東京では、公園も少なく、ボール遊びが禁止されていたりと、のびのび遊べる場所を探すのが大変でしたが、山形は、自然があるし、広い公園があるので助かります。家庭菜園で野菜をつくったり、ご近所の方からお裾分けを頂いたり、季節のおいしい食材を堪能できて、子どもたちも喜んでいます。」
移住により、価値観やライフスタイルが変化したイトウさん。
また、山形に来たことで、旬の山菜や魚介類を楽しんだり、土着的な歴史や文化を学んだり、狩猟免許を取得したりと、充実した日々を送っているそうです。
その日々の生活は、イラストの仕事に結びつき、ちょっと先の未来に対する展望ももたらしていました。
「庄内の豊かな自然の風景や面白い文化を、イラストを通じて世界に発信したいなって思っています。お仕事だけでなく、今後はオリジナルのイラストもどんどん描いていきたいですね。」
そう笑顔で話すイトウさん。
とても輝いて見える彼女からは、やりたいと思ったことに取り組み、全力で楽しむといった、前向きに生きることの大切さを感じました。
(文:池田将友)
しごとパラメーター
- Webマーケティング
- イラストレーター