ストーリーズ #014

公務員×地域活動家

相田隆行さん

地域:山形県米沢市タイプ:パラレルキャリア公務員

彼を知っている方はみんなが口を揃えて、こう言います。

「山形県米沢市の面白い人」。

米沢市役所にて企画調整部地域振興課副主幹として勤務しながら、プライベートで積極的な地域活動を行っている相田隆行さん。


相田さんは、公務員としての業務の他に、日本地域創生学会:東北支部前事務局長として所属したり、地域づくり大学生サークル「アクセルリンク米沢」の立ち上げ・世話役として活動したりと、数え切れないくらいの地域活動を行っています。

地域活動は彼にとってのパラレルワーク。やりたいことをとことんやる。地域活動を通して得ている人脈や感動・笑顔は、彼の人生を豊かにしています。

今回は、そんな相田さんに人生のストーリーを伺いました。


「元々市役所職員(以後、市職員)になるつもりはなかったんです。小学生の頃、勉強はそこそこできましたが、運動があまり得意でなかった自分にコンプレックスを持っていて、みんなを楽しく盛り上げることのできる人に憧れていました。そんな自分を理解しいつも真剣に向き合ってくれた熱血先生がいたんです。私にとってインパクトのある忘れられない先生で、その先生と同じ道を行き自分も将来教師になりたいと思うようになりました。

恩師と同じ中学・高校・大学に進み、教育実習を経て2年ほど臨時教員として働いていた相田さんですが、その後米沢市役所に入ることになったのは意外なきっかけからでした。

「市役所に入ったのは、当時の彼女に『一緒に市役所を受けてみない?』と言われたのがきっかけです。私は当時教員を目指していましたが、そのときの1次試験に受かってしまったんです。親からは面接だけでも受けてみればと言われ、二次試験も受けたら2人とも受かったという経緯があります。当時は2~3年位は市役所で働いてみようかなぁという軽い気持ちだったと思います。」

米沢市役所の職員になった相田さんは、公務員の業務と同時に地域活動にも積極的に取り組むようになりました。その理由について教えてくれました。


「地域活動を通して民間の方や各種団体の方々と繋がることで、いろいろな分野を学ぶことができ、公務員としての自分の仕事に活かせることがたくさんありました。そもそも自分は長く市職員を続けるつもりではなかったですし、学校の先生に戻るかもしれないとも思っていたので、とにかく周りの方から必要とされる人・地域の役に立つ人になりたいと思っていました。

そんな相田さんですが、公務員と地域活動を同時に行っているうちに、自分が本当にしたかった事に気が付きます。

「自分が教師を目指した理由は、小学校時代の恩師のように子供たちが一歩踏み出すための勇気を与えたり、子供たちの個性を大切にしながらステップアップのサポートをしたり、『人が変わるきっかけを作れる人』になりたかったからだと気が付きました。なら、それって今の仕事でもできるし、地域活動の中で市職員の立場を活かしながら、民間の方との信頼関係を丁寧に築いていけば、さらに人の役に立つこともできると思ったんです。」


市職員の魅力に気付いた相田さんの公務員×地域活動が本格的に始動しました。

「とにかく、人の役に立つこと、喜ばれること、必要とされることは、何でもやってみました。仕事でできるものは仕事で、仕事でできないものはプライベートで。そうやって活動しているうちに、プライベートな活動に仕事が活きてくることもあるし、逆に仕事において自分のプライベートの活動が活きてくることも増えました。頼まれたことは全部断らないスタンス”YES,YES,YES”で。時にはキャパオーバーで、周りの人に迷惑かけてしまうことありましたが、全てやってよかったと思っています。」

地域活動で得ることはとても沢山あると相田さんは語ります。

「人それぞれ、本当は自分の得意分野=得意技・必殺技があるのに、それに気付かないままということってあると思います。『そんな技、誰だって持っていて特別じゃない』と。その点で、私は周りに恵まれていました。さまざまな地域活動の場が、自分でも気づかなかった得意なことに気づくきっかけになったんです。『相田くんってこういう所ってすごいよね』『相田くんにしかできないよね』と認めてもらえる(必要とされる)ことで、それが自信に繋がり、自分自身の必殺技を認識し磨いていくきっかけになっていきました。」

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また、地方公務員として地域活動を行うメリットもあるそうです。

地方ほど公務員が自由に地域活動できる機会が多いと感じます。これまで先輩方が市民の方々との信頼関係を培ってきてくださったおかげで、こんな変わった私でも、市役所で働いているということでちょっとでも信頼していただけることもあります。私は学生メンバーといろんな活動をしていますが、社会人メンバーと学生が活動するとなると、はじめご家族の方は多少心配されるそうです。ですが、市職員も関わっている活動だと知ると、ご家族の方から安心していただけるそうなんです。また、市職員ならではのスキルや行動力は、地域の中で活かされることもたくさんあると思います。

相田さんを見て「公務員になりたい」と、米沢市役所に入所された方もいらっしゃるそうです。

「現在、市内外の公務員同士でネットワークを深めあいながら、『公務員の面白さ・やりがい』を伝える活動を展開しています。学校を卒業してすぐでも、一度社会人を経験してからでも、公務員を目指すのはありだと思います。公務員をやりつつ充実した地域活動ができたり、仲間との趣味の時間を楽しんだりしている私の暮らし方=ライフワークバランスを見て、1つの生き方としてイメージしてもらえるようになればいいなと思います。


公務員×地域活動家として人の役に立つ(必要とされる)べく活動している相田さん。そんな彼にこれからの目標を聞いてみました。

「今、地域活動で多くの若者たちと話す機会があったり、一緒に感動を共有する機会がありますが、誰かにとっての心地よい居場所(機会)を作っていきたいと思っています。職場で認められるのと、人として必要とされるのはまたちょっと違ってくるので。新しい仲間や新しい自分と出会うきっかけになる場所を、今後もたくさん作っていきたいです。」

相田さんは、いろんなことに関わっているがゆえにいろんな役割を人に与えることができ、居場所を作ってあげられる人なんだろうと感じます。
そんな相田さんがこだわるのは、緩い繋がり作りです。

「例えば、学生が大学等で1つのサークルにしか入っていない場合、良い面もありますが、そこに縛られ、新しい人との繋がりが広がりにくいということもあります。一方で、何かしたいけど授業やバイト等との時間的バランスを考え、大学のサークルに入ることを諦めた学生もいると思います。そこで、緩やかな繋がりを持てる場(機会)を作る必要があると感じ、夢プロジェクトを立ち上げて「米沢すずめ踊り」や「竹あかり」など、社会人と学生が一緒に活動できる場を作っています。その分、イベント等が重なり1日のうちにあっちこっち動かないといけないこともありましたが、今ではそれぞれの活動でメンバー一人一人にしっかりとした役割があり、すべて任せられるので本当に心強いですね。」


いつも明るく元気に公務員と地域活動に勤しむ相田さん。最後に、元気の秘訣を教えてくれました。

「常に意識しているのは、できる限り口から発する言葉はポジティブな言葉にすることです。そうすると、自分自身前向きになれるし、周りもその雰囲気が気持ちいいのか、共感してくれる素敵な仲間が集まってくれるので、何でもできそうな気もしてきます。口からプラスのこともマイナスのことも発すると”吐"っていう漢字になりますよね。そこからマイナスを取ると"叶"という字になるんです。だから、辛いなと感じてもプラスになる言葉を自分の中でつぶやきます。『いやぁ、楽しくなってきたなー!!』ピンチになったら『ピンチはチャンス!さぁ、盛り上がってまいりました!!』です。」

相田さんの話を聞いていると、最初から最後まで一貫してブレない軸がありました。それは”人の為”。これからも相田さんは、米沢市役所の公務員、そして地域活動家のパラレルワーカーとして、"人の為に生きる人生"を歩んでいくことでしょう。

(文:升屋豊久)

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